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福井県おおい町の小学校です。 日々の様子をお伝えします。

2014年12月2日火曜日

12月号

(ここ)に在らざれば
                                                          
  『初時雨 猿も小蓑を ほしげなり』 松尾芭蕉

 今年は,11月の中旬から寒さが厳しくなってきました。12月に入り,そろそろ積雪も心配されますが,本郷小学校の児童は大変元気です。『猿も小蓑を欲しがるような』寒さの中でも,校門でのあいさつ運動は引き続き行われています。6年生を中心とした児童会の役員や有志で行われている運動は,少しずつですが全校への広がりを見せています。けれども,あいさつ運動の児童の声に負けないくらい元気な声でもっともっとあいさつを返し,温かな会話をつないでほしいです。
 12月は人権週間からスタートです。児童も教職員も,互いの存在を大切に思い,「かしこく・やさしく・たくましく」児童が育つように,さらに意識して取り組みを深めていきたいと思います。

 さて,今年もあと一月。まとめの時期を迎えました。この一年間はいかがでしたか。子供たちの,年の初めに立てた目標は達成できたでしょうか。どのくらい実現できたでしょうか。
中国に伝わる四書の中の「大学」という書物に
『心(ここ)に在らざれば視れども見えず,聴けども聞こえず,食らえどもその味を知らず』
という言葉があります。御存知と思いますが,『自分の中の心がしっかりしていなければ視ようとしても何も見えず,聴こうとしても何も聞こえず,食べたとしても味がわからない』ということを言っています。

本来は,怒りや恐怖などに心がとらわれてしまうと,正しい判断ができなくなるというような意味のようですが,「心(ここ)に在らざれば」とは「日々起こる出来事を自分の問題としてとらえていない状態」と思えます。
私自身,何も考えずに,日々同じことを繰り返していると「心ここに在らず」の状態になることがあります。目の前に重大なことが起こっていてもそれが他人事にしか感じられなくなり,視ているつもりでも見えていない状態になってしまいます。
子供たちの毎日で考えると,例えば,学習中に「おながかすいたなあ」とか「あと○○分で勉強が終わるな」などと,他のことを考えていれば,授業の内容はちっとも頭に入ってこないでしょう。集中していなければ,学習がはかどらないのは当然です。

けれども,自分の気持ちを「これ」と決めて集中すれば,いつもより大きな力を発揮させることができると言います。気持ちを落ち着かせて,物事に取り組むことが,来る年の大きな成長の原動力となるのではないでしょうか。子供たちが持っている限りない能力を生かしながら,毎日の生活を送ってほしいと願っています。

 2学期もあと少し。子どもたちの成長をお伝えできるように教職員も努力していきます。