自分で考える
『大蛍 ゆらりゆらりと通りけり』 一茶 作
さて,6月初旬に郡の球技大会があり,子供たちの真剣な様子を見ることができました。一所懸命球を追うあきらめない姿は素晴らしかったです。また,試合をしている友に向かい,精一杯応援をする様子も見られ,心が一つになっていると感じさせられました。結果は,もう少しという感じでしたが,頑張ったという達成感は十分味わえたようです。20日には校内研究会があり,全学年の学習の様子を見て回りました。学年が上がるにつれ,落ち着いて取り組んでいました。けれども,高学年ほど,積極的に発言する様子が少ないことは大変残念でした。
ところで,戦国時代に活躍した三人の英雄の性格を表現する有名な川柳があります。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」
「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」
「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」
御存知の織田信長,豊臣秀吉,徳川家康の三人です。
私たちは,この三人のどれかに自分を当てはめて考えてしまいますが,二人の人が当てはまらないと答えています。
一人は,松下幸之助さんです。松下さんは「鳴かぬなら それもまたよし ホトトギス」と詠みました。独創的な感性で「それもまたよし」と表現したのです。松下さんは「発想の転換」という能力を磨き続け,引退後もパナソニックの危機を何度も救ってきました。
もう一人は,本田宗一郎さんです。HONDAの創業者である本田さんは,「俳人ではないのでうまく詠むことはできないが,その三つにはあてはまらない」と答えています。本田さんは子供のころから腕白で,小学生のころ校長室の金魚が赤ばかりでつまらないからと,青や黄,紫のエナメルで塗ったというエピソードが残されています。さすがに今どきそんな子はいませんが,「常識にとらわれない」生き生きとした姿が浮かびます。その後,本田さんは,自分で考え,自分で工夫して,小さな町工場から「世界のHONDA」を育て上げました。
「学習」とは,テストで百点取れればよいということではありません。いろいろな人の話を聴き,いろいろな体験を通して,自分で考え,自分で判断できる力をつけることが大事です。教師や周りからの指示を待っているだけでは,これからの社会では通用しません。
「発想の転換」「常識にとらわれない」…先人に学ぶことは大変多いですね。
本校の子供たちにも,自分の考えを持ち,積極的に意見を交わし,判断する力をつけていきたいです。夏休みまで,あと少し。学ぶ力を十分に身につけてほしいです。