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福井県おおい町の小学校です。 日々の様子をお伝えします。

2014年3月3日月曜日

3月号

瞬間を大切に
                                                       
 『校塔に 鳩多き日や 卒業す』 中村草田男 作

 普段は誰も「校塔」などつくづく見上げたりしなかったのに,いざ別れるという日に,ふと学校のシンボルを見上げることになった。この日だけ格別に「鳩」が多かったというわけではないのに,今日『卒業』の日だけにたくさん群れていると詠んだ句です。卒業の日の特別な感慨が表れています。

本郷小学校6年生も,いよいよ,あと2週間で卒業となりました。卒業までに,たくさんの思い出をつくってほしいと願っていましたが,2月は,インフルエンザが猛威をふるい,慌ただしく終わってしまいました。それに加えて,PM2.5により,学習活動も制限される事態となり,子どもたちには充実感の少ない月となったように思います。

けれども,先日6年の担任が,最高学年として在校生に残していけることを考えて活動させたいと言ってくれました。あと僅かな日しか残されていませんが,精一杯小学校生活を充実して過ごしてほしいです。そんな中,2月末に全校遊びが行われました。『学校の先生に聞きました』というゲームをひまわり班団長と児童会執行部が行ってくれました。まだまだ活動の時間は残っているのに,途中でネタが尽きてしまった…。どうするのかと思いきや,その場にいた教員に「質問に答えてください」と頼みに来て,そのまま時間いっぱいゲームを続けることができました。先を見通す力は少し足りませんでしたが,臨機応変に対応する力はなかなかのものでした。さすが6年生。

さて,平成25年度が終わろうとしていますが,子どもたちには「時間を大切にしてほしい」と思っています。
「瞬間」は瞬きする間ほどの極めて短い時間のことです。この瞬間瞬間の連続が,人生となっていきます。過ぎた時間はどんなことをしても手に入れることはできません。この瞬間は二度とないということです。
「時間を大切にしよう」という教えはたくさんあります。「『いつかしよう』と思っている『いつか』は決してやってこない」というスコットランドの諺もあります。
鎌倉時代の「親鸞聖人」は,9歳で出家しようと,有名な青蓮院の慈円大僧正を訪ねますが,大僧正は「今夜は遅いので,出家は待ちなさい」と諭したそうです。その時に親鸞聖人は,「明日ありと思う心の仇桜 夜半の風の吹かぬものかな」と詠んだそうです。今を盛りに咲き誇る桜も,夜中に風が吹けば一瞬にして散ってしまう。ですから,人はやるべきときにやらないと時機を逃してしまいます。明日,桜を見に行こうというような気持ちではいけないのですと訴えたということです。

確かに明日はあると思いますが,一瞬一瞬を力いっぱい生きる人にしか,次の良い一瞬はやってこないのです。この1年のまとめとして,あるいは中学進学に向けて,学習の目標や生活の目標を達成するために,瞬間を大切にしてほしいと思います。


最後になりましたが,保護者の皆様,地域の皆様には,この一年間,大変お世話になりました。皆様のおかげで,子どもたちはいろいろな経験を重ね,大きく成長することができたのではと思います。これまでの御協力に感謝いたします。本当にありがとうございました。